鬼滅の刃ファン必見!?
瓢ヶ岳の“リアル鬼狩り伝説”に迫る!
- 歴史・文化

「鬼を討つ物語」は、フィクションの中だけの話ではありません。実はここ郡上市には、千年以上前から語り継がれる“リアル鬼狩り伝説”が残されています。
「鬼滅の刃」や「犬夜叉」、「呪術廻戦」――アニメや漫画で描かれるその世界観は、実は各地に残る“鬼伝説”をルーツに持っています。郡上市に伝わる「鬼狩り伝説」も、そのひとつ。
現代作品にも受け継がれるこの構造は、なぜ生まれるのか。郡上の自然やそこに暮らす人々の価値観を通して、物語が生まれる背景を体感しに行きましょう。
水と翠 おすすめコース
SPOT1 鬼退治の舞台「粥川の森」と「矢納ヶ渕」
住所:郡上市美並町高砂 粥川の森内
連絡先:0575-79-3737(美並観光協会)
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SPOT2 実際の鬼の首が祀られる「念興寺」
住所:岐阜県郡上市和良町沢897
連絡先:0575-77-2125
営業時間:9:00~16:00 ※鬼の首を拝観する場合は要予約
定休日:火曜日
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矢納ヶ淵|鬼を討った矢を納めた滝
その昔、現在の郡上市美並町にある瓢ヶ岳には、正体不明の鬼が棲みつき、夜になると里へ下りて人々を苦しめていたと伝えられています。正体は見えず、姿を変えながら現れる鬼に、人々は恐怖するしかありませんでした。
この事態を重く見た朝廷は、武士・藤原高光を鬼狩りに派遣します。
高光は瓢ヶ岳に入り、鬼を探し続けましたが、なかなかその正体をつかむことができません。
そんなある日、粥川の森で一匹の“うなぎ”が、導くように山奥へ向かっていきます。高光はその後を追い、ついに鬼を見つけます。ところが、鬼はさまざまな姿に変身するため、高光はなかなか討伐することができません。困り果てた高光は、瓢ヶ岳と高賀山に六つの社を祀り、虚空蔵菩薩へ祈りを捧げます。するとある日、高光はお告げを受け、矢を授けられました。激しい戦いの末、大きな鷲に姿を変えた鬼を射抜き、首をはねて討ち取ったと伝えられています。
鬼退治の後、高光は自らの弓矢をこの地に納めたとされ、その場所が「矢納ヶ淵」と呼ばれるようになりました。
その後、高光は粥川に残り、代々鬼の首を守り続けてきたといわれています。
今もこの場所には、岩の間を流れる静かな滝と澄んだ水音が残り、不思議と背筋が伸びるような空気が漂います。
ハイキングコースも整備されているので、歴史を感じながら伝説の森を散策してみてはいかがでしょうか。


豆知識
- 粥川では、うなぎを神の使いとして崇め、捕獲や食用を禁じる伝承が今も残っています。
- 近くの 星宮神社 もおすすめ。星にゆかりのある神社で、夜は星空がとてもきれい。とてもロマンチックな場所です。
念興寺|討ち取った“鬼の首”が伝わる寺
もう一つの重要スポットが、郡上市和良町にある 念興寺(ねんこうじ) です。この寺には、討たれた鬼の首が納められたという伝承が残されています。
今から約300年前の元禄の頃、藤原高光の子孫とされる 粥川太郎右エ門 が和良の地に移り住みました。
鬼を哀れに思った太郎右エ門は、その首を供養したいと考え、念興寺に納めたと伝えられています。
以降、鬼の首は長きにわたって秘蔵されてきましたが、資料文化財に指定されたことをきっかけに、展示されるようになりました。現在は一般公開されていますが、かつては「箱を開けるだけで嵐が起こる」と恐れられ、厳重に保管されていたとも言われています。
ここで興味深いのは、鬼を「完全に消す」のではなく、弔って終わるという日本的な考え方です。恐怖の対象であった鬼でさえ、最後は祀られ、供養され、静かに物語の中へと納められていきます。念興寺は、そんな日本人の価値観を、今も静かに伝え続けている場所です。

豆知識
- 鬼の首は、写真を撮ると、災いを招くとされています。撮影にはご注意を。
- 鬼の首の拝観は、予約が必要です。拝観の際は事前にご確認ください。
- 旧金山町の東林寺には「鬼の髭」が残されています。
土地の背景を知ることで、旅は変わる
矢納ヶ淵と念興寺。どちらもテーマパークのような派手さはありません。けれど物語を知ってから訪れると、風景の見え方はまったく変わります。滝は、仏とつながる神聖な場所に。深い森は、人々が畏れ敬った異界に。寺の静けさは、鬼を弔う祈りの空気に。ただの自然や建物が、次第に“物語の舞台”として立ち上がってきます。
郡上での旅は、観光地を巡るだけで終わりません。日本人が鬼を生み、鬼を鎮めてきた歴史を、実際の風景の中で体感する旅です。アニメや映画が好きな人ほど、この場所はきっと忘れられなくなるはず。人間は自然や不安に勝てない。だから鬼という物語を作り、倒すのではなく、祀り、弔い、共に生きてきました。そんな日本人らしい感覚を、この旅の中で、そっと感じてみてください。
